COLUMN
【連載】父の会計事務所を、4人きょうだいの誰も継がなかった理由
私の原点は、家業です。父が一代で開いた会計事務所と、4人きょうだいの話から始めます。
この記事の要点
- 家業を「手伝う」ことと「継ぐ」ことは違う
- つなぐとは保存ではなく、本質を生かして形を変えること
- 日本には100年以上続く老舗が5万社以上ある
父が一代で開いた会計事務所
私の家は、父が会計の仕事をしていました。一代で、本当に大変な思いをして事業を開いた人です。その姿を間近で見て育ったので、私にとって「会社を続ける」ことは、抽象的な経営課題ではありません。家族の時間そのものでした。
子どもは4人います。私は一番上の長女です。兄弟はそれぞれ、家の仕事を手伝いに入りました。けれど、結局、誰もそれを大きくすることはできませんでした。
手伝うことと、継ぐことは違います。手伝いは、今を回すこと。継ぐことは、次の形を決めること。その違いを、当時はまだ言葉にできていませんでした。
日本の会計士の父、アメリカの会計士の私
父は日本の会計士です。私はアメリカの公認会計士で、日本の公認会計士ではありません。同じ「会計」でも、資格も、仕事の作法も違います。
だから、父の事務所をそのまま引き継ぐのではなく、会計を土台にしたコンサルティング事業として、家業をつなぐことにしました。形は変える。けれど、父が始めた「お客さまの役に立つ」という本質は変えない。
日本には、100年以上続く老舗が5万社以上あると言われます。世界でも突出した、老舗大国です。それだけの歴史を残してきた国に生まれて、自分たちの会社を次の世代へ渡すこと。それは、経済的な意味だけでなく、人が生きてきた証をつなぐことだと思っています。
つなぐとは、保存することではない
家業を継ぐというと、昔のままを守ることを想像しがちです。けれど、そのままでは続きません。時代も、お客さまも、家族も変わっていくからです。
受け継いだものの本質を生かしながら、新しい時代にふさわしい姿へ進化させる。それが、私の考える「つなぐ」です。
いま、家業を続けることに迷っている方がいたら、伝えたいことがあります。継ぐことは、親の人生に従うことではありません。受け継いだものの意味を知り、自分の意思で、その未来を選び直すことです。
よくあるご質問
家業を誰も継がない場合、どう考えればよいですか?
そのままを維持するのではなく、本質を生かして形を変える方法を探します。私自身、会計を土台にしたコンサルティング事業として家業をつなぎました。
親の仕事を継ぐことに、抵抗があります。
「継ぐ」は親の人生に従うことではありません。受け継いだものの意味を知り、自分の意思で未来を選び直すことだと考えています。
老舗企業の強みは何ですか?
長く続いてきた技術、顧客、地域との関係です。日本の100年以上の老舗は、世界でも突出しています。
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