COLUMN
伸びる会社を、続く会社へ ── 急成長期に潜む5つのリスク
売上が伸びているときが、いちばん危ない。急成長の陰で起きている5つの変化と、その整え方を整理します。
この記事の要点
- 売上が伸びている時期こそ、資金繰り・組織・人材・文化にリスクが生まれる
- 危険なのは成長そのものではなく、成長に会社の仕組みが追いつかないこと
- 必要なのはブレーキではなく、成長が続くための経営基盤をつくること
売れているときほど、足元を見る
経営相談で出会うのは、赤字に苦しむ会社よりも、むしろ売上が急に伸びている会社です。数字は過去最高を更新している。だから誰も止めない。けれど内側では、経営者が気づかないうちに、いくつかの変化が始まっています。
成長は、会社の形を無理やり変えます。人の数が増え、仕事の量が増え、お金の動きが速くなる。今までのやり方では回らなくなるのに、やり方を変える時間がない。この時期に起きるのが、成長の副作用です。
まず資金繰りです。売上は計上した時点で立ちますが、入金は後からついてきます。仕入れと人件費は先に出ていく。受注が増えるほど、手元の現金は薄くなります。決算書は黒字なのに翌月の支払いが苦しい。これは珍しいことではありません。
次に組織です。人が足りないから採用する。その判断は正しいのですが、急いで採った人が、それまでの会社の文化とぶつかることがあります。誰が、何を決めるのか。どこまでを任せるのか。そのルールがないまま人が増えると、指示が重複し、責任が曖昧になり、現場が疲れていきます。
目先の受注と、見えている利益
売れていると、目の前の注文を断れません。断らないから現場は忙しくなり、経営者は日々の対応に追われます。その結果、半年後、1年後の新しい柱を作る時間が消えていきます。今の売上は、過去に蒔いた種の結果です。種を蒔く時間を失った会社は、2年後に伸び止まります。
もう一つ、気をつけたいのが利益の読み方です。売上と利益が一度大きく伸びると、人はそれを実力だと感じます。そして、少し先の将来を見ずに、設備や車両、接待や広告に使ってしまう。あるいは、節税だけを目的に支出を動かしてしまう。
一時的な追い風と、会社の実力は違います。追い風の間にやるべきことは、浪費ではなく、次の成長に必要な基盤への投資です。
必要なのは、ブレーキではなく基盤
最後のリスクは、社長一人の経営から抜けられないことです。創業以来、社長が全部を見てきた会社ほど、この局面で苦しくなります。判断の質は高いのに、判断の量が多すぎるからです。
ここを越えられるかどうかが、10年後を決めます。経営者が一人で抱える会社は、経営者が倒れると止まります。経営チームが判断できる会社は、経営者が離れても進みます。
成長を止める必要はありません。必要なのは、成長を一過性で終わらせないための基盤です。資金の時間割、役割と意思決定の設計、次の一手を打つ時間、そして経営チームの自走。
「伸びる会社」を「続く会社」へ。そのために私が最初に見るのは、売上ではなく、数字の奥にある会社の構造です。
よくあるご質問
売上は伸びているのに資金繰りが苦しいのはなぜですか?
売上を計上する時期と入金の時期には差があり、仕入れや人件費は先に出ていきます。受注が増えるほど手元の現金は薄くなるため、利益ではなく「現金の時間割」で見る必要があります。
急成長期に、最初に手を付けるべきことは何ですか?
いつ・いくら入り、いつ・いくら出るのかを確定させることです。そのうえで役割と意思決定の設計に進むと、組織が崩れずに人を増やせます。
成長を止めたほうがよいのでしょうか?
止める必要はありません。資金・組織・次の一手を整えて、一過性の成功で終わらせないことが重要です。
急成長期の資金繰りや組織の整え方は、顧問CFO・経営参謀サービスでご一緒しています。まずは会社の健康チェック(無料)から。
関連ページ
まずは、会社の
健康チェックから。
売上・財務・承継を整え、
利益と現金が残る会社へ。