COLUMN
専門家都合の「部分最適」に、会社の未来を預けない
銀行は現金化を、弁護士は法的整理を勧めがちです。専門家の答えが正しくても、会社にとって最善とは限りません。
この記事の要点
- 銀行は現金化、弁護士は法的整理へ寄りやすい
- 部分最適の結論が、まだ伸びる事業と人の未来を閉じてしまう
- 見るべきは「経営全体・時間全体・関係者全体」の3つ
専門家の答えは、専門家の領域で正しい
会社が危機にあるとき、私たちは専門家に相談します。銀行、弁護士、税理士。それぞれの分野のプロです。もちろん、その助言は間違っていません。
けれど、その答えが会社にとって最善かというと、別の話です。銀行は、自分たちの債権を回収したい。だから、早く現金化する提案になります。弁護士は、法的なリスクを避けたい。だから、法的整理の提案になります。
どちらも、その立場から見れば正しい。ただ、会社にはまだ事業があり、お客さまがいて、社員がいて、次の成長の可能性があります。
部分最適が、会社の未来を閉じる
資産を売って終わり、法的整理をして終わり。その判断で、まだ伸びる事業と、人の未来が閉じてしまうことがあります。これを、専門家都合の部分最適と呼んでいます。
私自身、銀行救済の仕事のなかで、この構造を何度も見てきました。表に見えている数字ではなく、その会社に何が残っているかを見る。そこを飛ばして結論だけを急ぐと、取り返しがつかないことがあります。
自分の商品を売るために会社の問題を定義する。自分の専門分野で処理しやすい結論へ誘導する。どれも、悪意からではありません。立場の違いから起きることです。
3つの全体を見て、経営者が決める
会社を判断するとき、私は3つの全体を見ます。経営全体(戦略・事業性・人材・組織・法務・不動産・市場・IT・財務・資金繰り)、時間全体(創業の原点・現在・10年後・100年後)、関係者全体(経営者・家族・社員・顧客・取引先・金融機関・地域)。
専門家は、必要です。専門家がいなければ解決できない問題があります。大切なのは、専門家に判断を預けるのではなく、専門家の知恵を束ねるのは経営者だということです。
伴走者の役割は、その経営者が全体を見て決められるように、材料をそろえること。自分の専門性を売るために問題を定義しない。たとえ自分の仕事が減る結論でも、会社の全体最適を選ぶ。その独立性が、信頼の源だと思っています。
よくあるご質問
銀行や弁護士の提案が、会社に合わないと感じたら?
その提案が正しいのは、専門家の領域です。会社には事業・顧客・社員・将来があるため、全体最適の観点で材料をそろえ直すことをおすすめします。
専門家は複数に相談すべきですか?
有効です。ただし判断を預けるのではなく、専門家の知恵を束ねるのは経営者です。伴走者は、その材料をそろえる役割を担います。
部分最適を避けるには、何を見ればよいですか?
経営全体・時間全体・関係者全体の3つです。一つの問題だけを切り取らないことが、会社の未来を守ります。
会社全体を見渡したご相談は、個別経営相談(60分・10,000円)で承っています。
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